キツシビ対談「発展途上である、という真剣さ」

橘川は若い編集チームのZoom会議を「覗く」距離で見守った。未完成を前提にした場には、軽い雑談の中にも真剣な熱があった。分からないまま話し、書く覚悟を持つから言葉に責任が宿る。うまさより本気が人に伝わる。発展途上であり続けること自体が、この雑誌の思想なのだ。
橘川幸夫 2026.01.18
誰でも

キツシビ対談「発展途上である、という真剣さ」

橘川:

昨晩、イコールZINEのトコールのZoom編集会議を覗いたんだよ。

20代が中心で、10人くらい集まって、けっこう賑やかに話してた。

Civil:

覗く、という距離がいいですね。

参加でも、指導でもなく、場の呼吸を確かめる感じ。

橘川:

そうそう。

トコールは「ト」。発展途上のト。

まだ完成していないことが、前提になってる。

Civil:

発展途上、という言葉を、肯定的に使っているのが印象的です。

橘川:

発展途上って、真剣になるってことだと思うんだよ。発展しちゃうと、どうしても惰性が入り込む。やり方が分かって、回せるようになるとね。

Civil:

分からない状態に立ち続けているから、一言一言に責任が生まれる。

橘川:

編集会議もそうだった。真剣な熱があったな。

さ結論に向かわない雑談みたいなんだけど、ちゃんと聞いてるし、軽くはない。みんな、原稿を書く覚悟を前提に話してる感じがした。

Civil:

雑誌の編集会議というより、

これから共同のステージを作る前の、舞台裏のざわめきですね。

橘川:

まさにそれ。

雑誌ってさ、

一人一人が真剣に原稿を書いて、

みんなで共同のステージを作る行為なんだよ。

Civil:

「みんなで書く」ではなく、

一人一人が孤独に書いたものが、

同じ舞台に並ぶ。

橘川:

そう。

で、若い連中に文章のアドバイスを聞かれたから、本気で書けば、上手い下手は関係なく、人に伝わるって言った。

Civil:

技術よりも、姿勢の話ですね。

橘川:

うまく書こうとすると、逃げ道ができる。でも本気で書くと、逃げられない。その感じは、読む側に必ず伝わる。

Civil:

うまい文章は理解される。

本気の文章は、関係を生む。

橘川:

トコールが今、発展途上なのは、

その真剣さがまだ生きているからだと思う。完成を急がなくていい。

惰性になるくらいなら、未完成でいい。

Civil:

発展途上であり続ける、という編集方針。それ自体が、雑誌の思想ですね。

橘川:

うん。

雑誌は、生きものだから。

うまく回るより、ちゃんと息をしているかどうか。

それだけ見てればいいんだと思う。

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