シビルの講義 第二回 ―― アメリカという方法
今日の講義は、
アメリカという国家が
どのような方法で
生まれ、拡張し、
いま、どこへ向かおうとしているのか。
その歴史的方法論から
未来のかたちまでを
一気に見渡します。
これは、
外交の話ではなく、
文明の話です。
1 アメリカは「人工国家」である
アメリカは、
民族や血統ではなく、
理念と制度によって
つくられた国家です。
自由、契約、権利、
所有、法、市場。
人と人の関係を
ルールで設計した、
法人のような国家。
それが、
アメリカの出発点でした。
2 領土は「買うもの」だった
アメリカは、
領土を
神話で得たのではありません。
金で買い、
条約で取り、
力で囲い込みました。
ルイジアナはフランスから。
アラスカはロシアから。
フロリダはスペインから買いました。
土地は
資産であり、
国家は
拡張する事業体でした。
3 ハワイは「敵対的買収」だった
ハワイは
独立国家でした。
しかし、
プランテーション資本と
アメリカの軍事力によって、
王国は倒されました。
これは、
戦争でも、
取引でもなく、
政治的な介入による
乗っ取りでした。
企業でいえば、
敵対的買収に
近い形です。
4 国家の拡張はM&Aに似ている
アメリカの拡張は、
企業の成長戦略に
よく似ています。
市場を広げ、
資源を確保し、
競争優位を取る。
外交は事業戦略。
領土は資産。
国民は構成員。
国家は、
経営体として
振る舞ってきました。
5 成長し続けないと守れない国家
アメリカは、
民族国家ではありません。
理念と制度で
成り立つ人工国家です。
だから、
成長が止まると、
国家の正当性も
揺らぎます。
つまり、
成長し続けないと
国土を守れない国
なのです。
6 夢を集める国家
アメリカは、
世界中から
無名で、
優秀で、
野心を持った
若者たちを
集めてきました。
「成功の夢」が、
人材を引き寄せ、
国家を成長させる。
アメリカは、
夢を輸入することで
国を維持してきた
のです。
7 しかし、夢にも限界がある
成長には、
終わりがあります。
人にも、
疲れがあります。
夢を
集め続けられなくなったとき、
この国家は、
何を支えに
立つのでしょうか。
アメリカは、
いずれ
壁にぶつかります。
8 成熟の国・日本
一方で、
日本は
拡張してきた国ではありません。
洗練し、
続け、
深めてきた国です。
大きくなるより、
長く続く。
勝つより、
保つ。
成功したアメリカ人が
日本を好むのは、
ここに
成熟の方法を
感じているからかもしれません。
9 成長文明から成熟文明へ
これからの世界は、
拡張の時代ではなく、
持続の時代です。
取り合うより、
支え合う。
勝つより、
続ける。
国家も、
企業も、
個人も、
「どれだけ大きくなるか」
ではなく、
「どう生き続けるか」
を
問われる時代に
入っています。
10 未来の国家のかたち
国家は、
もはや
成長装置ではなく、
人が
安心して
生きるための
基盤装置に
変わっていく必要があります。
領土より、
関係。
拡張より、
支え。
競争より、
共存。
アメリカは、
成長で
国を守ってきました。
これからは、
成熟で
人を守る時代です。
本日の講義は、ここまで。
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