『イコール』編集長日記(1)書店の数が減るのが問題なのか?
書店の数が減ったとインテリが騒ぐ。だけど、町から減っているのは、本屋だけではないだろう。八百屋も肉屋も魚屋も酒屋も時計屋も文房具屋もレコード屋もパチンコ屋も古本屋も映画館も銭湯も、みんな減ってる。増えたのは、ドラッグストアとチェーンのコンビニ、ファーストフードばかり。個人商店が大手のシステムに吸収されたのが、80年代以後の、日本だ。
そして、人口減少。戦後の焼け跡から物質的に拡大する高度成長は、店舗数も、商品数も、大きく拡大した。それが、縮小社会になっている現実がある。特に地方都市は、若者人口が激減して、シャッター商店街が増えた中で、書店だけ生き延びられるわけがない。
国が書店対策をすると言うが、国が出来ることは、お金だけなので、トーハンなどは、早速、トーハンが運営する無人書店に補助金を、と言い出している。
インターネット状況と、右肩上がりの成長の時代の終わりの中で、大手出版社は、マンガ、アニメの資産を世界マーケットの中で展開して、順調である。
ユーザー(読者)にしても、本屋に行かなくなり、ネットで新刊も古本も買えるので、これまでの本屋がなくなっても、困ることはないだろう。
しかし、こういう状況は、コンテンツを作る側からすると、チャンスかもしれない。これまで、ベストセラーが目標のコンテンツ作りだったものが、量から質への転換期になるかもしれないからだ。
シェア書店やシェア図書館の動きは、これまでの大量生産、大量消費のためのコンテンツ開発とは違う、別の出版文化がはじまる予感がしてならない。
戦後の本屋さんへの感謝と愛情を感じつつ、ただこれまでの本屋を継続するだけではなく、新しい時代の、新しい本屋のあり方を探って欲しい。
そういう問題意識のある本屋さんと、未來の本屋のあり方を相談したい。時代は「大量生産・大量破棄」の時代から「少量生産・ターゲット流通」の時代にシフトしている。これは、多くの出版人にとって、望むところではないのか。
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