シェア書店・棚主のはじめかた(4)「TAKIBI」オープン

今、一番の注目「シェア書店」は、「TAKIBI」である。90年代に「千駄木・往来堂」という伝説の書店の店長だった安藤哲也くんが、その後、さまざまな経験を経て、今年の7月に往来堂の近所に、シェア書店を開業します。これは、注目。
橘川幸夫 2023.07.03
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安藤哲也くん

安藤哲也くん

 安藤くんは、80年代にUPUに入って、その頃に知り合った。そこから書店店長のメキキ力を活かした書店「往来堂」の店長に。その後、BK1、楽天ブックスで活躍した後、子育て父親支援のNPO「ファザーリング・ジャパン」を設立。企業や行政などに圧倒的に受け入れられ、日本各地を講演して回る。孤立した子どもたちを支援するNPO法人タイガーマスク基金を設立したり、社会的課題と事業化を同時に推進してきた独自のキャラクターである。

 自分の子どもが20歳を過ぎて、父親の子育て参加の活動以外の活動を広げようと、株式会社ライフシフト・ジャパンを立ち上げて高齢者問題に取り組む。

 こうした多様で着実な社会活動を経て、昨年、地域の課題である、無書店地域に「まちの本屋」を復活させることをテーマに、NPOブックストア・ソリューション・ジャパンを立ち上げた。

 この団体のスタートは、安藤くんと関わりのある、取次、書店、図書館などの錚々たる人たちが結集している。私も個人的に参加申請をした。

 一回目の会合で、安藤くんは、地方都市は図書館ばかり豪華になって、町の本屋さんが絶滅している。まちの本屋さんは、子どもにとっても大人にとっても、大事な場所なので、地方行政と組んで復活させていきたい。更に、都心部では本屋さんが潰れて、従業員の店員さんは、別の仕事に再就職している。だけど、本当に本が好きで書店店員をしていた人は少なくないので、その人たちと地方をつなぎ、地方にとっては「本屋の復活」と「移住促進」の両面の価値を提案していく、というようなことを話していた。Zoomの発言で記録していないので曖昧だが、まぁ、そういう趣旨だったと思う。素晴らしいね。安藤くんが自分の人生を最大限活用して、次の一手を出した感じがする。

 その安藤くんが、シェア書店「TAKIBI」を開始する。おそらく、今後各地で起きるであろう「まちの本屋」の新しいノウハウをつかもうとしているのだと思う。もちろん、深呼吸書店は、出店します。

オープンは7月5日です。

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